『失業保険』または『失業手当』という言葉を知っている方は多いです。雇用保険の中にある、会社を辞めた後にお金を受け取ることができる制度です。
ただ、誰でももらえるわけではなく、さらに自分で手続きをする必要があります。もちろん、さまざまなルールがあり、違反すると受け取ったお金を返済するだけでなく、罰金を払うことになるかもしれません。
ですから、失業保険の仕組みや注意点を確認しておきましょう。会社を辞めた時に役に立ちますし、仕事で悩んでいる方も、この制度を知ることで気持ちがラクになるはずです。
この記事では、雇用保険の失業給付の仕組みや手続きの流れ、注意点について解説しています。
会社を辞めても失業給付を受け取りながら生活できる
雇用保険の中には、会社を辞めても給与の約5割〜8割程度がもらえる、『失業給付(基本手当)』という制度があります。一般的には、『失業保険』や『失業手当』も同じ意味で使われています。
実は、会社員として働いていると、自動的にいくつかの保険に加入しています。
これらの保険料は、雇用主と半分ずつ負担することになっていて、毎月の給与から自動的に引かれています。今まで気にしなかった方は、ぜひ一度給与明細を確認してみてください。
つまり、会社員として働いていたなら、雇用保険に加入していることになります。すると、会社を辞めても失業給付を受け取ることができます。
また、アルバイトをしている方も雇用保険に加入しているなら、同じく失業給付の対象となります。ただし、失業給付をもらうためには条件があるので確認しておきましょう。
失業給付を受け取るためには条件がある
仕事を辞めたからといって、誰でも失業給付がもらえるわけではありません。失業給付は、仕事を辞めた方が生活の心配をせずに、再就職するために支給されるからです。
3に関しては、仕事を辞めた日より前の2年間のうち、加入期間の合計で考えます。また、例外もあるので、詳しくはハローワークのWebサイトで確認してください。
ちなみに、すぐに就職できない状況の方は対象外になりますが、別のサポートを受けることができます。
ただし、条件をクリアしても、すぐに失業給付をもらえるわけではありません。退職した理由によって、給付が始まる期間や日数が変わるからです。
失業給付はいつから始まる?
失業給付が始まるタイミングは、退職した理由で大きく2つに分けることができます。
- 会社都合:1週間後から
- 自己都合:1週間+2ヶ月後から
以前は、自己都合の場合3ヶ月後からでしたが、現在では2ヶ月に短縮されました。続いて、会社都合になる理由について見ていきましょう。
会社都合とは?
退職理由が会社都合になる理由は2つあり、該当する方は『特定受給資格者』となります。
- 会社が倒産した
- 会社に解雇された(自分に責任がある場合を除く)
また、やむを得ない理由がある場合の自己都合でも、会社都合と同じように扱われます。この場合は『特定理由離職者』となります。
など、詳しくは厚生労働省のWebサイトで確認できます。
自己都合とは?
上記の会社都合以外の理由で仕事を辞めた場合は、自己都合となります。すると、約2ヶ月後から失業給付が始まります。
この期間を無収入のまま生活するのは厳しいため、限られた範囲であればアルバイトをすることは可能です。【雇用保険の一般被保険者となる条件に該当する=就職した】とならないように注意が必要で、具体的には下記の通りです。
この両方の条件を満たすと、失業給付をもらうことができません。また、待機期間(求職の申し込みから1週間)はアルバイト禁止だったり、ハローワークに申告する必要があったりとルールが決まっています。
退職した理由に関わらず、失業給付をもらっている期間中もアルバイトをすることはできますが、ルールを破った場合は『不正受給』になるので注意しましょう。
1ヶ月を76,000円で生活するのは難しいので、仕事を辞める前にお金を貯めておく必要があります。
失業給付の金額や日数は?
失業給付の金額がいくらなのか気になりますよね?毎月振り込まれる失業給付の金額は、退職するまでの6ヶ月の給与によって決まります。
また、失業給付をもらえる日数は、退職した理由によって大幅に変わります。では、それぞれについて簡単に解説していきます。
失業給付は毎月いくらもらえる?
失業給付の金額を知るためには、まず賃金日額(退職前の1日あたりの賃金)を計算します。期間は退職するまでの6ヶ月間なので、30日×6ヶ月=180日とします。
すると、【賃金日額=6ヶ月間の合計賃金/180日】で求めることができます。ちなみに、6ヶ月間の合計賃金には、臨時に支払われる賞与などは含まれないので注意してください。
次に、基本手当(失業給付の金額)を計算します。基本手当は、先程の賃金日額に給付率(決められた割合)をかければ求めることができます、しかし、年齢や金額などで給付率は変わります。
ちなみに、基本手当の上限は年齢によって決められています。
失業給付は何日間もらえる?
失業給付がもらえる日数は90〜360日の間と決まっていて、主に3つの要素によって変わります。
- 退職した理由
- 年齢
- 雇用保険に加入していた年数
この中で、まずは退職した理由によって、2つのグループに分けられます。
- 自己都合
- 会社都合
このように、退職した理由は、失業給付が始まる期間だけでなく、もらえる日数にも大きく影響します。では、順番に見ていきましょう。
自己都合(一般離職者)の場合
自己都合で会社を辞めた場合、年齢は関係なく雇用保険の加入していた年数によって、失業給付の期間が決まります。
自己都合(障害を持つ方の場合)の場合
障害をお持ちの方が自己都合で会社を辞めた場合、失業給付が始まるまで2ヶ月かかるのは同じですが、給付期間は長くなります。
会社都合の場合
会社都合で退職した場合は、年齢や雇用保険に加入していた年数によって、給付期間が大きく変わります。
失業給付を受け取るためには手続きが必要
失業給付を受け取るためには、ハローワークで求職の申し込みをしなくてはいけません。そのため、月〜金曜日の間で16時までにハローワークに行く必要があります。
この時、必要な持ち物があるので、忘れずに用意しておきましょう。
このうち、『離職票』と『雇用保険被保険者証』は会社が用意するので、仕事を辞める前に伝えておきましょう。おそらく、退職してから数日後にもらえると思います。
ちなみに、初回の手続きの流れは下記の通りです。
- 受付
- 再就職に関するアンケートを書く
- 経歴や希望の職種などをパソコンで登録する
- 退職の理由や再就職についての面接
- 失業給付についての説明を受ける
ハローワークの混み具合にもよりますが、スムーズに進んだとしても1時間程度はかかるでしょう。その数日後に、別の会場で行われる説明会へ行き、失業給付に関する詳細を確認します。
失業給付をできるだけ早くもらうためにも、初回の手続きは早めに済ませておきましょう。
会社を辞める前に必要な準備をしておこう
会社を辞めても、失業給付を受け取りながら、再就職先を探すことは可能です。ただし、自己都合で仕事を辞めた場合、失業給付が始まるまで2ヶ月かかるので注意してください。
また、実際に失業給付が支給されるのは、約3ヶ月後になります。
- 求職の申し込み〜待機期間(1週間)
- 給付までの制限期間(2ヶ月)
- 制限期間の終了〜失業認定日(約2週間)
- 失業認定日〜振り込みまで(約1週間)
もちろん、その間にアルバイトをすることはできますが、働ける時間は限定されています。ですから、仕事を辞める前に、最低でも3ヶ月分の生活費を貯めておく必要があります。
また、普段から生活費を抑える工夫をしておくことも重要です。少ないお金で生活できれば、収入が減っても問題ありません。生活費を抑える方法は、別の記事で解説しています。
➡︎【その出費は本当に必要ですか?これからの人生を自分で選んでいく準備をしよう】
また、再就職するためにはスキルや知識が必要になります。現在は、Web上で情報発信をすることが当たり前になっています。そこで、Web系のITスキルが役に立ちます。
Webサイトの更新やカスタマイズも可能になる、Web系のプログラミングは独学で身に付けることができます。学習方法は別の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まずは、生活費を抑えて最低限のお金を貯め、スキルを身に付けておけば、いつでも会社を辞めることができます。また、実際に会社を辞めなくても、その状況を作っておくだけで、ラクな気持ちで働くことができます。少しずつ、できることから始めてみるのがおすすめです。
それでも不安な場合は、生活保護について解説している記事があるので、確認してみてください。日本国民であれば、全てを失っても生きていけることがわかります。
➡︎生活保護の条件や金額を知って「失敗しても生きていける」ことを確認しよう