【白色申告なら簡単】初心者に向けて必要な書類の作り方や手順を解説

クラウドソーシングなどを使って個人で稼げるようになったら、確定申告をしなければいけません。

もちろん、自分で金額を計算して税務署に提出します。もし「面倒だから…」と放っておいた場合、後から税金に加えて罰金を支払わされる可能性があります。

ですから、自分で収入を得られるようになった段階で、簡単な「白色」で確定申告をしてみましょう。ただし、収入が多い場合は「青色申告」で節税することをおすすめします。

ちなみに、白色申告であれば初心者でも必要な書類を用意して、自分で手続きをすることは可能です。もちろん、帳簿などを作る費用もかからないので安心してください。

まずは簡単な白色申告から始めて、収入が増えた段階でお得な青色申告へ変更していきましょう。なお、この記事で解説している内容は下記の通りです。

  • 確定申告の概要手続きの方法
  • 白色申告に必要な書類の作成方法
  • 白色申告を簡単に済ませる方法
  • 白色と青色の違い

個人で稼いでいくためには必要な知識です。重要なポイントのみに絞ってわかりやすく説明しているので、ぜひ参考にしてください。

確定申告の概要について

まずは、確定申告について簡単にまとめておきます。確定申告とは、1年間の所得金額に対する税(所得税)を計算するために、自分で申告する制度です。

1月1日〜12月31日までの収入経費などを、自分で計算した上で書類に記入し税務署へ提出します。その際、作成した書類や金額を証明する書類(請求書領収書など)は保存しておく必要があります。

保存が必要なもの具体例保存期間
法定帳簿収入、仕入れ、経費などを記載した帳簿7年
その他の帳簿・書類・業務に関する帳簿
・決算に関する書類
・請求書
・領収書など
5年

ちなみに、白色申告の場合は取引ごとではなく、日々の合計金額をまとめて記載する方法でも良いとされています。詳しくは、国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」で確認できます。

一見難しく感じるかもしれませんが、「家計簿と同じように書いた上でレシートを保存しておく」と考えておけば、基本的には問題ありません。

なお、「具体的な書類の作成方法」は記事の後半でご紹介します。

確定申告が必要な対象者とは?

個人で仕事をしているフリーランスはもちろんですが、会社員であっても確定申告が必要な場合があります。

詳細を説明するとわかりにくいので、個人で仕事をしている場合に限った上で、会社員フリーランスに分けて簡単に解説します。

会社員が副業をしている場合

会社員の場合は、会社が税金の計算をして給料から徴収しているため、所得税の還付を受ける場合を除いて確定申告をする必要はありません。

ただし、「本業の給与収入以外の所得が20万円を超える」場合は確定申告が必要になります。副業の所得の計算方法は下記の通りです。

【副業の所得】=【売上】-【経費】

売上から経費を引いて残った金額が「所得」です。

フリーランスの場合

フリーランス(個人の収入のみ)の場合は、売上から経費控除を引いた後の金額(課税所得)に所得税がかかります。

【課税所得】=【売上】-【経費】-【所得控除】

仕事をする上で必要な支出を「経費」として計算します。自宅で仕事をしている場合は、自分で割合を決めた上で生活費の一部を経費として計上できます。(家事按分

経費の種類主な内容
仕入れ仕入れに使った金額
消耗品消耗品を購入した金額
家賃毎月支払う家賃
光熱費主に電気代
通信費・スマホ代
・インターネット料金
手数料・サービス使用料
・金融機関の手数料
送料配送するための費用
修繕費修理にかかった費用

次に、金額の大きい「所得控除」の例も挙げておきます。

所得控除の種類内容一般的な金額の例
基礎控除本人が対象48万円
配偶者控除合計所得48万円以下の配偶者がいる場合38万円
扶養控除合計所得48万円以下の扶養親族がいる場合38万円
社会保険料控除・国民年金
・国民健康保険税
・介護保険料など
左記の合計金額

なお、経費や所得控除は、生計を共にする家族の中の1名のみに計上することができ、重複して差し引くことはできません。

確定申告をしないとどうなる?

「確定申告をしなければ、納税しなくて済むんじゃない?」と思う方のために、申告漏れが発覚した場合について簡単に解説します。

確定申告をしなかった場合は2つ罰則があります。

  • 延滞税
  • 加算税

では、それぞれ簡単に説明します。

延滞税

延滞税とは、決められた期限までに納付しなかった場合に、翌日〜納付するまでの日数に応じてかかる税金です。

延滞税の割合は、期限の翌日〜2ヶ月間は年7.3%、2ヶ月を超えると年14.6%となります。詳しくは、国税庁「延滞税について」で確認できます。

加算税

加算税とは、決められた期限を過ぎてから申告したり所得が決定した場合に、本来の所得税に加算される税金です。

申告するタイミングや、所得税の金額によって割合が変わります。詳しくは、国税庁「確定申告を忘れたとき」で確認できます。

つまり、所得の申告漏れが発覚すると、追加で税金を払わなければいけないということです。

白色申告の概要

続いて、白色申告の概要について簡単に解説します。確定申告は毎年2月16日頃〜3月15日頃までと決まっているため、期間内に申告する必要があります。(曜日によって少し変動します)

また、税務署に申告する方法は3種類あります。

確定申告をする方法
  • 各自治体や税務署などで開かれている申告会場へ行く
  • 国税庁のWebサイトから確定申告書を作成し郵送する
  • e-TAX(電子申告システム)を使う

どの方法を選んでも、準備する帳簿や書類は基本的に同じです。郵送する場合は、返信用の封筒切手を貼って一緒に送ると、申告書の控えに収受日付印を押した上で返送してくれます。

確定申告をした証拠として使う場合があるため、収受日付印が押してある申告書の控えを保存しておきましょう。

なお、e-TAXを使う場合は事前に手続きをする必要があります。詳しくは、e-TAX「ご利用の流れ」で確認してください。

提出する書類と所得の種類について

白色申告をする場合、必要な書類は2種類あります。

白色申告で提出する書類
  • 確定申告書AまたはB
  • 収支内訳書

確定申告書A会社員用、Bフリーランス用となっており、記載されている所得の種類が異なります。
また、収支内訳書についても、収入を得た方法によって記入する項目の名称が異なるため、3種類に分かれています。

収支内訳書の種類
  • 一般用(事業所得)
  • 農業
  • 不動産

なお、この記事では一般用の収支内訳書について解説していきます。ちなみに、雑所得として申告する場合は確定申告書のみ提出すれば良いため、帳簿をつける必要はありません。(書類の保管は必要です)

雑所得は白色申告のみ

収入を得た方法によって、事業所得と雑所得の明確な判断が難しい場合があります。なお、雑所得は白色申告と決まっているため、収入の金額が多くなった場合は、青色申告ができる事業所得の方が税金を抑えることができます。

所得の種類青色申告の可否メリット
事業所得できる55万円の特別控除がある
雑所得できない収支内訳書がいらない

ちなみに、事業所得と雑所得の判断は管轄する税務署が決めるため、不安に思う場合は事前に相談してみましょう。

事業所得に必要とされる主な要素
  • 営利性:利益を得る目的で行うこと
  • 有償性:受けた利益に対して、代価を支払うこと
  • 継続性:続けること

これら全てに該当する場合は、事業所得として申告できる可能性が高いです。

白色申告に必要な書類の作成方法

ここからは、白色申告に必要な書類の作成方法について解説していきます。まず、申告する方法で大きく2つに分けます。

  • 副業で雑所得として申告する
  • 事業所得として申告する

では、それぞれについて見ていきましょう。

副業で雑所得として申告する

会社員をしながら副業の収入があり、雑所得として申告する場合は「確定申告書A」を使います。確定申告書を作る際は、国税庁「所得税の確定申告」からWeb上で作成し、PDFでダウンロードして印刷できます。

確定申告書Aの作成方法については、入力するポイントを画像で簡単にまとめておきました。源泉徴収票から転記したり、自分で金額を計算しながら入力してください。

また、「ふるさと納税(寄附金控除)」「医療費控除」の申請で確定申告をする場合も参考にしてください。

なお、確定申告書Aの作成方法について詳しく知りたい方は、国税庁「確定申告の手引き:確定申告書A用」で確認してください。

事業所得として申告する

事業所得として申告する場合は、2つの書類を作る必要があります。

事業所得の白色申告に必要な書類
  • 収支内訳書(一般用)
  • 確定申告書B

事業所得で白色申告をする場合は、先に「収支内訳書」を作成してから「確定申告書B」に転記するとスムーズに進められます。

なお、収支内訳書や確定申告書Bは、国税庁「所得税の確定申告」からWeb上で作成し、PDFでダウンロードして印刷できます。

では、それぞれ簡単に解説していきます。

収支内訳書の作成方法

収支内訳書とは、売上や経費などの内訳をまとめた書類です。各項目ごとに金額を計算して入力していきます。収支内訳書の主な項目は下記の通りです。

収支内訳書に入力する主な項目
  • 事業に関する基本情報
  • 売上
  • 仕入れ
  • 棚卸し(期末在庫の合計金額)
  • 経費(勘定科目ごと)
  • 取引先の情報

収支内訳書を作るためには、期末(12月31日または12月の最終営業日)に残っている在庫の金額を計算する必要があります。次期は、前年度の在庫金額(期首商品棚卸高)の入力も必要になります。

また、普段から勘定科目ごとに分けて経費を計算し、帳簿をつけておくことで効率良く進めることができます。

なお、取引先が匿名の場合は確認できる範囲で入力しておき、それでも不安な方は税務署に相談してみましょう。では、収支内訳書に入力する主な項目を、画像で簡単にまとめておきます。

国税庁「収支内訳書(一般用)」

さらに詳しく知りたい方は、国税庁「収支内訳書(一般用)の書き方」で確認してください。

確定申告書B

確定申告書Bは、収支内訳書から必要な情報を写していきます。第一表に入力が必要な項目は大きく3種類に分かれています。

確定申告書B第一表に入力する主な項目
  • 収入
  • 所得
  • 各種控除

また、第二表には所得や控除の種類についての詳細を入力していきます。では、確定申告書Bに入力する主な項目を、画像で簡単にまとめておきます。

なお、確定申告書Bの作成方法について詳しく知りたい方は、国税庁「確定申告の手引き:確定申告書B用」で確認してください。

白色申告を簡単に済ませる方法

白色申告は、普段から帳簿をつけておくことで比較的簡単に済ませることができます。しかし、「帳簿をつけておくのが大変なんだけど…」と思う方もいらっしゃるでしょう。

その場合は、オンライン会計サービスを使うことで白色申告がさらに簡単になります。オンライン会計サービスはたくさんありますが、この記事では2つに絞ってご紹介します。

オンライン会計サービス
  • やよいの白色申告オンライン:無料
  • freee会計:1,180円/月

では、それぞれ簡単に解説します。

やよいの白色申告オンライン




やよいの白色申告オンラインは、インストール不要でWindowsでもMacでも使えるクラウド会計ソフトです。しかも、「フリープラン」なら無料で使い続けることができます。

  • 初心者でも簡単に使える
  • 簿記・会計の知識がなくてもOK
  • 確定申告書の作成もできる
  • クレジットカードや銀行取引のデータを自動で仕訳
  • レシートや領収書をスマホで撮影して取り込める

さらに、データをグラフで表示させたり、e-TAXにも対応している便利なオンライン会計サービスです。

ただし、フリープランにはサポート機能がないため、わからない場合は「よくある質問FAQ」で確認しながら、自分で解決しなければいけません。

とはいえ、自分でデータを入力したり仕訳をする手間が省ける上、無料で使い続けることができるので、費用をかけずに白色申告を済ませたい方におすすめのサービスと言えます。

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なお、「サポートしてほしい!」と思う場合は、次でご紹介する「freee会計」をおすすめします。

freee会計




freee会計も簡単に確定申告ができるクラウド会計ソフトです。freee会計の場合は、白色申告・青色申告の両方に対応しています。

  • 初心者でも簡単に使える
  • クレジットカードや銀行口座の明細を自動で取得
  • 確定申告は○×の質問に答えるだけで書類を作成
  • レシートや領収書をスマホで撮影して取り込める
  • 取引先への書類の作成も可能

freee会計なら、メールチャットサポートがあるので、初心者でも安心して使うことができます。また、年払いを選択すれば11,760円/年となり、毎月の費用に換算すると980円/月に抑えることも可能です。

なお、30日の無料期間もあるので、気になる方はとりあえず試してみてから続けるか検討することもできます。さらに、freee会計なら白色から青色に変更する場合でも、同じ使い方でスムーズに移行できます。

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白色申告と青色申告の違い

最後に、白色申告と青色申告の違いを簡単に解説します。まずは重要なポイントについてで簡単にまとめておきます。

確定申告の種類白色青色(簡易簿記)青色(複式簿記)
申請方法必要なし・開業届
・青色申告承認申請書
・開業届
・青色申告承認申請書
(複式簿記を選択)
特別控除額なし10万円55万円
記帳方法単式簿記複式簿記
一括で経費に計上できる金額10万円未満30万円未満(合計300万円まで)
赤字の繰り越しできないできる(翌年から3年間)

青色申告をするためには、税務署に開業届を提出し、青色申告の手続きをしなければいけません。ただ、手続きだけ済ませてしまえば、白色申告と同じ帳簿のつけ方でも10万円特別控除が受けられます。

今後も個人で仕事を続けていく方は、特別控除がある青色申告も検討してみましょう。青色申告の概要やメリット、簡単に済ませる方法については、別の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

➡︎【青色申告は難しくない!】会計知識がなくても節税できる方法を解説

初心者でも白色申告は難しくない

普段から収支内訳書を意識しながら帳簿をつけていれば、白色申告に必要な書類を作るのは簡単です。

また、特別な会計ソフトを使わなくても、ExcelGoogleスプレッドシートを使って帳簿を作ることもできます。

ただ、できるだけ簡単に済ませたい場合は、無料で使える「やよいの白色申告オンライン」を使いましょう。もし、サポートが必要な場合は、「freee会計」がおすすめです。

さらに、今後も仕事を続けて収入が増えてきたら、節税できる青色申告に変更してください。なお、青色申告をするためには事前に手続きをする必要があります。

クラウドソーシング初心者や副業など収入が少ない場合は、簡単な白色申告から始めてみましょう。

あわせて、生活に必要な固定費を下げておくことで、たとえ収入が減ったとしても自分の好きなように働くことができます。

生活費を下げる具体的な方法についても、別の記事で解説しているので、興味のある方はぜひ参考にしてください。

➡︎ その出費は本当に必要ですか?これからの人生を自分で選んでいく準備をしよう

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